ファッション

スーツと生地の微妙な関係をおさえよう

スタートを切ってから間もないビジネスパーソンにとって、スーツに求めるのは仕事着としての機能性のみという方がほとんどでしょう。

しかし歳を重ねて責任ある地位に就くにつれて、それにふさわしい品格や落ち着きを演出するツールとしての役割もスーツには欠かせなくなってくるはず。

スーツ選びには生地の目利きが必須

そのために必要となってくるのが生地を目利きできる知識。

あくまでもビジネスの場で身に付けるものですから奇抜な色や柄を選ぶわけにはいかないので、どのようなで生地を選ぶかがスーツで個性を主張するための王道だからです。

天然素材でもっとも代表的といえるのがウール(羊毛)といっても過言ではありません。ビジネスパーソンが着るスーツは仕事着ですから、なんといっても動きやすさが不可欠です。

その重要な要素といえるのが体の動きに合わせて生地が伸び縮みする柔軟さ、つまりストレッチ性といえるでしょう。ウールはそのようなビジネス・スーツに必要なストレッチ性に加えて、耐久性も兼ね備えています。

さらに吸湿性、保温性にも優れているのでまさにビジネスパーソンが着るスーツにはぴったりの素材といえるでしょう。ただしウールは羊毛を糸に加工する工程、つまり紡ぎ方と糸を布にする織り方により光沢や肌触り、保温性、通気性に違いがあるのでそれをしっかり押さえておきましょう。

梳毛糸と紡毛糸

まず羊毛の紡ぎ方。紡織機で毛足が長く細い羊毛を糸に加工するのが梳毛糸(そうもうし)、毛足が短くて太い羊毛を手紡ぎして糸に仕上げる紡毛糸(ぼうもうし)の2種類があります。

梳毛糸は長い羊毛の束を撚り合わせるので羊毛の質感がそのまま活かされて艶がありなめらかに、そして丈夫な糸に仕上がるのが特徴。スーツの大半は梳毛糸が用いられています。

一方の紡毛糸は羊毛をコイルのように螺旋状に紡いだもの。つやはありませんが空気が溜まりやすいので保温性に優れているのが特徴です。スーツよりもカジュアルなジャケットやコートによく用いられます。

また、布への織り方は2種類。経糸と縦糸を交互に重ねていく平織と、1本の経糸を縦糸が上、次に縦糸が下、そして再度縦糸が上という順番を繰り返す綾織があります。平織は通気性がいいため夏用のスーツに、綾織はきめが細かく温かいので冬ものに向いていることを覚えておいてください。

ところでウールのスーツ生地にはSUPERという表示があります。これは羊毛の太さを表す記号で、数字が10上がるごとに羊毛の太さが0.5ミクロン細くなります。

ちなみに人間の髪の毛の太さは平均して50ミクロン。SUPERの数字が大きいほど高級な生地という傾向がありますので、選ぶときの目安にするといいでしょう。

3つのポイントも押さえて生地をチョイス

スーツの生地の種類にはこのほかにシルク、カシミア、コットンなどの天然素材があります。ただしシルクやカシミアは高級素材ですから、特別な一着を除いてはウールやコットンがお勧めといえるかもしれません。

ところで化学繊維は天然繊維に比べて耐久性に優れ、シワになりにくいなどの特徴があります。外回りの多い営業職にはお勧めといえるかもしれません。

素材に加えてスーツの生地選びで欠かせない要素は光沢と柔らかさ、動きやすくストレッチ性があることの3つです。

以下それぞれのポイントについて見てみましょう。

生地の光沢

まず光沢。実際に生地を手に持ってさまざまな角度で色味や輝きがどう変化するか確認してください。そして絶対に試していただきたいのが、生地をあてて肌と色の相性がいいか姿見でチェックすること。実際にスーツに仕上あがった時のイメージをかなり的確につかむことができます。

生地の弾力性

柔らかさは生地を指先で摘まんで確認しましょう。ゴワゴワと硬くないかだけではなく弾力性がありしなやかかどうかもチェック。弾力性がある生地はハンガーに掛けておくだけで一定時間が経てばシワも回復するからです。

生地の伸縮性

ストレッチ性については生地の素材や織り方によって違いが出てきます。生地を触ることである程度は伸縮性を確認出来ますが、売り物ですから強く引っ張るなどということは厳禁。テーラーに確認してください。

生地の素材についてご説明してきました。スーツを選択するには上記に挙げた要素だけではなく、色や柄、仕立てなども重要です。

どういうシーンや用途で着るものなのかを充分に考えて、迷った時にはテーラーや店のスタッフに相談しましょう。プロの持つ豊富な知識に基づいた意見を参考にすることも失敗のない生地、そしてスーツ選びのコツです。

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